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編集部おすすめの京都

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狭いからこそ 奥深き世界へ

京都、小さな小さな名店

髪飾り、唐板、針、筆。ひと筋に商ってきたからこその懐の深さを感じさせる専門店が点在するのもまた京都の面白さ。3坪4坪の小さな空間であってもスタイルを変えることはなく長きにわたり愛され続けている店にはどんな秘密があるのでしょうか。
 
驚くほど小さな空間でお商売をしている店々。京都を旅する人がらしさを感じる瞬間は街のあちこちに溢れていますが、そんな店へと足を運んだときも、ああ京都と思うことでしょう。髪飾り、唐板、針、筆。それは一意専心にもの作りをし、商い続けてき老舗の醍醐味が詰まった極小空間なのです。
 
お客と店主との距離が近くなり、自然とコミュニケーションが発生するのも小さな店ならでは。それが思いも掛けない出合いをもたらしてくれることもしばしばです。もちろん商うものが優れているという前提あってのこと。伝統に裏打ちされた京都ならではの醍醐味です。
  

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1477年の創業以来、唐板だけを作り続けてきた。

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水田玉雲堂(唐板やさん)  

凜とした空気漂うなかでひと品だけを作る潔さ
 
サクッとした食感と、ほのかな甘み。一枚一枚手焼きで焼き上げる唐板は、素朴にして上品な煎餅。創業から1942年までの四百六十有余年は、上御霊神社の境内に茶店を兼ねた店を構えていたという「水田玉雲堂」。「戦争がきっかけで神社の外へ店を構えることになって、おばあさんの隠居所を店に誂えました。大正末の建物なので、その当時の流行でランプシェードの名残りがあったり、棚が東屋風だったりと和洋折衷です」と当代の妻・千栄子さん。扱うのは唐板だけ。若くして跡を継ぐことになったご主人が試行錯誤を繰り返しながら、繊細な味を守り続けてきました。「水分を少なくすると焼きやすいけれど自然な景色が出ない。かといって水分が多すぎては焼き上がりの食感が違う。そんな具合に、季節や温度ですべての加減が異なる唐板を焼くことは日々挑戦です」。渾身の力を込めたひと品には、余分なもののないミニマムな空間がしっくりくるのです。
 

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唐板は50g袋入り700円(税込)〜。漆を思わせる黒の進物箱、唐板をデザインした包装紙など、すべてが端正な表情をもっている。

 

2016年10月04日掲載

水田玉雲堂

軽やかでやさしい甘みが菓子の原型を伝える

サクッとした食感と、ほのかな甘み。一枚一枚手焼きで焼き上げる唐板は、素朴にして上品な煎餅。創業から1942年までの四百六十有余年は、上御霊神社の境内に茶店を兼ねた店を構えていたという「水田玉雲堂」。「戦争がきっかけで神社の外へ店を構えることになって、おばあさんの隠居所を店に誂えました。「大正末の建物なので、その当時の流行でランプシェードの名残りがあったり、棚が東屋風だったりと和洋折衷です」と当代の妻・千栄子さん。扱うのは唐板だけ。若くして跡を継ぐことになったご主人が試行錯誤を繰り返しながら、繊細な味を守り続けてきました。「水分を少なくすると焼きやすいけれど自然な景色が出ない。かといって水分が多すぎては焼き上がりの食感が違う。そんな具合に、季節や温度ですべての加減が異なる唐板を焼くことは日々挑戦です」。渾身の力を込めたひと品には、余分なもののないミニマムな空間がしっくりくるのです。

水田玉雲堂の詳細をみる

撮影/伊藤 信 取材・文/大和まこ 間取りイラスト/瞳堂 『婦人画報』2016年8月号「感動の京都」掲載 2016年10月04日掲載

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