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編集部おすすめの京都

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京の深淵と日常に誘われて

ピエール・アルディ、京都『陰翳礼讃』の旅

京都を訪れるのは15年ぶり、2度目というシューズデザイナーのピエール・アルディ。谷崎潤一郎の『陰翳礼讃』をテーマに京都を歩いた、非日常でディープな一日を追う。

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「祇園ない藤」のディスプレイから、ピエールがお気に入りをピックアップ。

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旅の合間に、京履物匠の「祇園ない藤」へ  

 “ぽっくりとヒールは形は違うけど、女性を美しく見せるファンタジーは一緒”
 
タニザキワールドの旅の合間に、京履物匠の「祇園ない藤」へ。ここは、着物を愛する人が憧れてやまない京都を代表する老舗だ。店内に足を踏み入れるなり、棚にずらりと並んだ下駄の台やディスプレイに興味津々のピエール。
 
「あれは何?」「左右は決まっている?」「トレンドはあるの?」と質問が次々と飛び出した。「花緒の赤い前つぼは“きき紅”といって、口紅と同じように魔除けの役割を果たします。同じ赤でもトーンの違いで数種揃えていて、その方にお顔映りのいい色をおすすめしています」。5代目当主の内藤誠治さんが、日本の履物の歴史に続いてそう説明してくれた。「驚くね! 本当に奥が深い。私たちのシューズの考え方とまったく異なっているよ」とピエール。「でも、このぽっくりはヒールと同じだね。形は違うけど、歩きづらいその女性の動きが美しいというファンタジーは一緒」と、舞妓用の高いぽっくりの台を手に取った。
 
「日本には靴を脱ぐ習慣があるから、履物は履いたときと脱いだときのふたつの表情がある」と聞くと、「そう、オブジェとしてね。同感だよ!」と、アーティなフォルムとグラフィカルなデザインを生み出すピエールらしいコメントも。ふと店内で異彩を放つものに目を留めた。2013年に発表した新しいデザインのサンダル「JOJO」だ。「今もシューズのデザインを手がけているエルメスで、私も15年前にスニーカーをスタートしました。伝統的なレザーハウスと最新技術の融合に挑戦したのです。ここにも通じるものがありますね」。
 
そして「JOJO」を試し履きし、「シック!」と即決でお買い上げ。職人の街である京都では、どんな道具も修理し、育てながら大切に使う習わしがあるが、「JOJO」も然り。内藤さんがゴム底を外して修理ができることを説明すると、「天才だね、妬ましい限りだよ!」。刺激的な出会いに感謝しつつ、ふたりはパリでの再会を約束して祇園を後にした。 
 

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履物談義で話が尽きないピエールと店主の内藤さん。
 
 

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それぞれ数百種類揃う台と花緒の、無限の組み合わせから客に似合う一足を選ぶ。
 
 

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祇園ない藤 創業は1875年、1897年に祇園に移転した。 
 
 

2016年05月11日掲載

2016年05月11日掲載

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