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編集部おすすめの京都

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京の深淵と日常に誘われて

ピエール・アルディ、京都『陰翳礼讃』の旅

京都を訪れるのは15年ぶり、2度目というシューズデザイナーのピエール・アルディ。谷崎潤一郎の『陰翳礼讃』をテーマに京都を歩いた、非日常でディープな一日を追う。

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蓑庵 静かに対峙するピエールと木村さん。連子窓を通して差し込む光がほの暗い室内を照らす。

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「大徳寺玉林院」の歴史ある茶室にて“一服  

“非日常の空間で、時間を忘れ、これまで過ごしたどんな時間とも違う特別な体験”
 
最初に訪れたのは、大徳寺玉林院。創建は1603年、1742年に大阪の豪商・鴻池一族により造営された重要文化財の茶室「蓑庵(さあん)」「霞床席(かすみどこのせき)」で有名な塔頭寺院だ。
 
通常は非公開のその「蓑庵」にて、国内外で活躍する気鋭の茶人・木村宗慎(そうしん)さんによるエクスクルーシブな茶席が設けられた。藁あとも荒々しい「すさ壁」に囲まれたほの暗い三畳ばかりの茶室内を、障子越しの淡い光が照らし、凛とした空気のなか、この席のために選ばれた道具が黒く艶やかに浮かび上がる。「影や闇によって生かされる美しさこそ日本の美である」と説いた『陰影礼讃』の世界観が見事に再現されたのだ。
 
「褐色に古色を帯びた利休作の花入も、長い時間を経て錆色に変じた壁も、花に打たれた露をこそ愛でるための装置にすぎません。ご用意したきんとんの菓子も同じこと。味はもちろんですが、なによりできたてであることが肝心です。光には影がつきものであるように、古いものと新しいもの、両方が混在するところに茶席の面白味はあります」と木村さんが説明する。
 
お茶席を出たピエールは「非日常な空間で、時間を忘れるようなひと時だった。これまで過ごしたどんな時間とも違う特別な体験だったよ。手順に従って進められる動作は流れるように美しく、さながらショーを見ているようだった」と、大いに感銘を受けた様子。 
 

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ピエールが絶賛した「嘯月」の桜のきんとんが、漆黒の皿に浮かび上がる。 
 
 

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大徳寺玉林院の「蓑庵」のすさ壁と、利休作の竹一重切花入が迫力の存在感。詫びの美意識を端的に物語る。
 
 
 

2016年05月11日掲載

2016年05月11日掲載

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