京都、初夏の愉しみ

【6月・京都人ひみつの京案内】初夏の始まりは、 恒例の「薪能」と好物の「鮎」 by 茂山逸平さん

狂言師の夏は、梅雨入り前の涼やかな夜、平安神宮で行われる「京都薪能」から始まります。京都ゆかりの能や狂言の関係者が流派を越えて集い、皆で企画から上演、裏方まで手がける賑やかな行事。篝(かがり)火に浮かび上がる能舞台は幻想的で、ふだんとは違う幽玄な世界をご覧いただけます。
 
この時季、食のお愉しみと言えば、京都人の大好物の「鮎」。海から離れた京都では、清冽な川で育った鮎が昔からの夏のご馳走。わが家もご多分に漏れず、稚鮎が獲れる6月になると皆そわそわ(笑)。祖父の生前は走りと旬の二度、自然豊かな京の奥座敷にある「比良山荘」へ“鮎食べ”に行くのがお決まりでした。パリッと焼いた香ばしい鮎の塩焼きを丸かじりするのが醍醐味。清々しい香りとほろ苦さが初夏の訪れを教えてくれる至福の味です。
 
鮎つながりでもう一つ、お菓子の「あゆ」も京の夏の味。お気に入りは、楽屋見舞いでいただくことも多い「中村軒」のもの。手焼きのモチモチの皮が美味で、夏の訪れが待ち遠しい絶品おやつです。

3/3

「あゆ」1個260円(税込)。

03

 

【中村軒】盛夏限定の「あゆ」  

名物「麦代餅」でおなじみの、1883年に桂離宮前で創業した老舗菓子司。初夏から盛夏限定「あゆ」は、職人が焼き上げたモチモチの皮でふんわり柔らかな求肥を包み込む。1個260円(税込)。
 
■中村軒
京都市西京区桂浅原町61 
Tel.075-381-2650 
7時30分~18時(茶店は9時30分~17時45分L.O.)
水曜休み

2017年06月08日掲載

中村軒

昔ながらの製法で作る素朴なお餅。食べ応え十分

桂離宮前で明治16年に創業した「中村軒」。街中から離れた地にありながら、いつも訪れる人の姿が絶えません。麦代餅は、国産の厳選した材料で作る中村軒の和菓子を代表する品。つきたてのお餅におくどさんでじっくり炊いた自慢の粒餡を入れ、香ばしいきな粉をまぶした素朴なお餅は、甘さ控えめで飽きのこないおいしさです。農家の農作業時の間食用に作られたというだけに、食べ応えも十分。少しだけ食べたい人にはうれしいミニサイズもあります。 桂離宮のすぐ南側、目の前を桂川が流れるロケーション。「中村軒」は創業130年になる老舗の和菓子店。北海道産の小豆、備中産の白小豆など、厳選した国産の素材を使用し、あんは昔ながらのおくどさんで、くぬぎの木を燃やして炊いて作ります。 お饅頭やお団子などの菓子が並ぶ店舗の傍らには、古い茶店の雰囲気を残した喫茶を併設。春夏にはあんみつやかき氷、秋冬にはぜんざいにおしるこ、お雑煮など、素朴でおいしい甘味がたくさん。つきたてのお餅で粒あんを包み、きなこをまぶした創業時からの名物「麦代餅」など、昔ながらの味をお茶と一緒に愉しむことができます。

中村軒の詳細をみる

『婦人画報』2017年6月号掲載 2017年06月08日掲載

RECOMMEND

こちらもおすすめ